婚約式(1)

私が結婚を決意したのは父の入院のため帰省した時だ。

「親が元気なうちに孫の顔を見せてあげたい」といった、<親のために>自分の人生を動かすことは間違いだと思ってはいる。とはいっても、「親に何かあったらどうしよう」という不安下では「まあ、結婚してやろうか」といった気持ちが自然と沸き起こった。所詮私も凡人である。

そうやって彼女にそろそろ結婚をしようかと持ち出したのである。

そのときは具体的な日程は考えていなかったんだけど、今度は彼女の親御さんの体調が悪くなり、これを機に婚約式をすることになったんだ。

私は婚約式というものを知らなかった。世間では結納の代わりとして家族・親族・友人を前に婚約をカジュアルに祝うものとして人気らしい。結納ってすごく形式張っていて面倒くさいと思う人も多そうだし、あまり今の時代に合わない気もする。かといって何もしないのもなんなので、婚約式が人気があるのは納得だ。

結納より気軽と人気、『婚約式』ってどんなもの? – LAURIER (ローリエ)(1/2)
http://www.excite.co.jp/News/laurier/mariage/E1352185952964.html

しかし私たちの場合はキリスト教の婚約式である。そもそも婚約式とは結婚前に婚約を誓うキリスト教の儀式。だけど、やらない人はやらないそうだ。私の場合、彼女の家族の意向で、結婚式と違ってすぐにできる婚約式なら、体調が悪化する前にやることができるということで、婚約式を急遽することになったわけだ。

その決意をしたのが実に式の1週間前である。スケジュールを考えるとその日しかなかったんだよ。

(2へ続く)