[Kindle 出版] 論理目次の編集

Amazon Kindle での電子書籍の出版をこれまで何冊かしてきた。

それはすべてリフロー型の書籍である。つまり、読みやすい文字の大きさや行間を Kindle 端末で変更できる方式だ。

一方、固定レイアウト型というのは、コミックや写真集の電子書籍で使われる方式で、文字サイズや行間が変更できない。

このたび、初めて固定レイアウト型の電子書籍の出版に挑戦してみた。それはアメリカの Lulu で紙の本を出版したものの電子書籍版であり、内容としては「辞書」のようなものである。

辞書の編者としては、本当は紙の本を買ってほしい。じっくり1ページずつ読む本なら電子書籍でも問題ないが、辞書という形式上、電子書籍ではなく紙の方が圧倒的に使いやすいからだ。しかし、Lulu はアメリカのサイトであり、日本の人が買ってくれる可能性は非常に低いので、やはり日本の Amazon で電子書籍を販売する決意をした。

さて、固定レイアウト型は画面が小さい iPhone などでは読みにくくなるので、できれば避けたいが、辞書となるとリフロー型にするのが難しい。そんなわけで、固定レイアウト型の電子書籍の出版をすることにしたわけだ。

固定レイアウト型の電子書籍の出版は、実は簡単だ。Amazon が固定レイアウト型電子書籍の作成ツールの Kindle Comic Creator(KC2)を用意しているのでそれを利用する。

Kindle Comic Creator
http://www.amazon.co.jp/gp/feature.html?docId=3077699036

私は InDesign で紙の書籍データを作っているので、それを PDF として出力。それを KC2 で固定レイアウト型の電子書籍に変換。それをそのまま Amazon のサイトにアップロードすれば出版できてしまう。

ただし、一つ問題がある。目次の作成である。

Kindle の目次機能としては、論理目次と HTML 目次の2種類がある。論理目次とは Kindle アプリの一機能として使われる目次であり、HTML 目次は書籍そのものに該当ページへのリンクを張る方式の目次だ。

Kindle本の目次機能-論理目次とHTML目次 | LOGDESIGN publishing
http://pub.logdesign.jp/kdp-tips/399

固定レイアウト型の電子書籍においては HTML 目次を作成できないので、論理目次を作成することになる。KC2 で電子書籍を作成した時点で自動的に論理目次が作成される。しかしそれは、全ページに対する目次ができてしまい、Page-1、Page-2・・・みたいなのが、延々と続く使えない目次なのだ。これを修正する必要がある。

その論理目次の修正方法が面倒だったので、ここにメモしておこうと思う。

***

まずは、電子書籍の作成を KC2 で済ませておく。KC2 は終了する。

できあがったファイルの中に toc.ncx があるが、これが論理目次の情報が書き込まれている。このファイルをテキストエディタで開く。

ファイルを見ると、 から の間に、それぞれの目次が <navPoint playOrder=”xx” id=toc-xx”> から次の </navPoint> まででひとかたまりになって構成されている。まずは、 から の間を一気に消してしまおう。

次に作りたい目次をどんどん作成していけばいい。以下はその例だ。

<navPoint playOrder="3" id="toc-3">
<navLabel>
<text>はじめに</text>
</navLabel>
<content src="html/Page-2.html"/>
</navPoint>

<navPoint playOrder=”★” id=”toc-★”> は連番なので、各目次で1、2、3・・・と入れていく。

<text>★</text> は実際に表示される目次の名前。「はじめに」「第1章」みたいに書いていく感じ。

<content src=”html/Page-★.html”/> はどのページへリンクするかの情報。どのページ番号を書けばいいのか、私は KC2 でできあがった mobi ファイルを iPad の Kindle アプリに入れてその論理目次を参考にしながら入力した。前述の通り、KC2 で作られた目次は、Page-1、Page-2・・・みたいな感じだからね。

それをすべての目次に対してやっていく。終わったら上書き保存。

次に使うのが Kindle Previewer なので、ダウンロードしておく。この際、現時点ではベータ版だがバージョン3を使う。バージョン2は私の環境ではうまくいかなかった。バージョン3の方がインターフェースが改善されていて使いやすいし。

Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング: Amazon の Kindle ストアでの電子出版に関するヘルプ
https://kdp.amazon.co.jp/help?topicId=A3IWA2TQYMZ5J6

Kindle Previewer で最初に KC2 でできあがった、content.opf ファイルを開く。すると、編集した目次情報が反映された新しい mobi ファイルができあがる。Kindle アプリ等で、正しく動作するか確認してみるといい。

まとめると、KC2 で固定レイアウト型電子書籍を作成、テキストエディタで toc.ncx ファイルを編集、Kindle Previewer で開いて mobi 作成、という流れだ。

参考:
KC2で作成した論理目次を編集する | LOGDESIGN publishing
http://pub.logdesign.jp/kdp-tips/648