職員研修費の新アイデア

大学事務職員として勤めていた頃、「職員研修費」という制度があった。仕事の役に立つようなこと、物に対して「研修費」として年6万円まで補助してくれる制度だ。書籍代、セミナー参加費、パソコンのソフト代など、いろいろな用途に使える。申請の際は研修報告書や領収書を提出する必要がある。

しかしその制度は意味がなくなっていると思っていた。申請が却下されることはまずないので、iPad やパソコン、IC レコーダーといった、「仕事とは関係ないことに使える」ガジェットを買う人がたくさんいたし、中にはプリンターのインク代(!)を申請する人がいた。年6万円のお小遣いだと思っている人がいるのである。あなた、本当にそれを買ったことで日々の仕事に役立っていますか? まあ、私も多少人のことは言えないけど・・・。

私が申請内容について知っているわけは、給与担当者だったから。研修費は給与を通じて支払われる。申請の内容を見ることができる立場だったのだ。

この問題を解決する新アイデアを思いついた。

審査基準を厳しくするといったことは、判断基準が微妙なので無理そう(そもそも判断基準がないことが問題なのだ)。制度そのものをなくすという方法もあるが、まあ組合が反対するので無理でしょう(組合ってのもある意味悪しき組織だ)。だから、制度そのものの着想を変えることにした。

それは、今まで通り一人年6万円支給するけれど、「職場で使うものを買うこと」である。仕事で使える、「あればいいな」と思っているものを職場で使ってもらうのだ。

タブレットを仕事で活用したいと思うなら iPad を買えばいい。新しいソフトを仕事で使いたければ買えばいい。あるいは、ちょっとした備品に使ってもいい。クリアファイルがほしいなら 100 枚セットを買うのもいい。これらは、仕事そのものの直接的な改善に繋がる。

ただしあくまで会社の所有物である。家で使ってはいけない。当然である。仕事のための補助金だ。あなたの遊びのためではない。

複数人で申請するのもありにすると面白い。5人集まれば 30 万円だ。Mac Pro だって、3D プリンターだって買える。

使用は完全に申請者個人の管理下に置く。しかし、実際に使ってみると持て余すこともあるだろう。職員がどんどん備品を買っていくと職場の物が増え続けるという問題点もある。

そこで不要になった購入物はプールして、3ヵ月に一度、ほしい人に無料でプレゼントするのはどうだろうか。プレゼントされた物は個人の物となるので、家に持って帰っていい。人気商品はじゃんけんやくじで決めるのはどうだろう。そのための商品市場のウェブサイトを社内ネットワークで作り、写真付きで一覧表示されていると見やすい。以前の使用者からのコメントが添えられていると面白い。社内のコミュニケーションの活性化に繋がると思う。

仕事に役立ち、かつ楽しい。絶対いいと思うんだけどなあ。