[読書メモ][Kindle]『シャーロック・ホームズの思考術』

loc 717
すべては、私の屋根裏部屋がうまく整理されているかどうかにかかっている。

loc 881
だが、ワトスンは聞かない。「しかしこの場合は――」と口を挟む。/ホームズは首を横に振る。「ぼくは例外を認めない。例外は規則を乱すだけだからね」

loc 1630
ホームズは、データがそろう前に理論立てることはしない。しかし、着手するに先立ってのプランは立てる。つまり、目的をはっきりさせ、それを達成するために必要な要素を確認するのだ。

loc 1728
ここには、ハイゼンベルク(一九〇一〜七六、ドイツの物理学者)の〈不確定性原理〉がはたらいている。つまり、観察するという行為によって、観察されている対象が変化してしまうということだ。たとえば空き部屋は、いったんあなたが入れば、もう同じ空き部屋ではない。

loc 1756
前もって目標を立てることは、注意という貴重な資源を適切な方向に向けるのに有効だ。

loc 1824
効果的な訓練のひとつは、状況を始まりから全部、何も知らない他人に対して説明するように、声に出すか紙に書いて描写することだ。

loc 1920
私たちが誰かを見るとき、その人物に関係するさまざまな固定観念のスイッチが入る。でも私たちは、そのことに気づかない。

loc 1920
感覚の影響を自覚することによって、ある状況のより完全な全体図を把握することが可能だ。

loc 2528
なぜまったく同じ情報が、レストレイドにとってはひとりの男性を有罪にするものであり、ホームズにとっては彼を救うものであり、さらには犯罪そのものの本質に疑いを起こさせるものだったのだろうか? それはすべて、想像力の問題なのだ。

loc 2732
行動を変え、一見して問題とは無関係なことをすることは、想像力をはたらかせるために必要な距離をつくりだす大きな手助けとなる要素のひとつなのだ。実際のところ、これはホームズがしばしば用いる効果のある方策だ。彼はパイプも吸うが、ヴァイオリンを弾いたり、オペラを見に出かけたり、音楽を聴いたりもする。これらが、彼好みの距離をとる方法だ。

loc 2848
宙吊りのままの中断(クリフハンガー・エンディング)

loc 3512
偶発的な細部の情報を見れば見るほど重要なことに立ち戻ることが少なくなり、偶発的なことを過度に重視してしまいがちになる。

loc 3601
古代ローマの哲学者で詩人のルクレティウスは、世界に存在するいちばん高い山は自分がそれまでに観察したいちばん高い山と同じだと信じている人間を、ばかと呼んだ。私たちも、そういう考え方をする人をばかと決めつけることだろう。とはいえ、私たちも毎日それと同じことをしている。

loc 4094
学習高原(プラトー)

loc 5168
もうおわかりのように、ホームズの洞察はほとんど何にでも応用できる。