[読書メモ]『合コンの社会学』

978 4 334 03432 0

pp9-10
出逢いはそもそも、突然でなければならないのだから。街で落としたものを拾ってもらったとき、図書館で同じ本に手を伸ばしたとき、あるいは長く知っていた人が急に違って見えたとき、はじめて、ロマンティックな恋は始まる。

p18
国立社会保障・人口問題研究所実施の「出生動向基本調査」は、結婚相手と知り合ったきっかけのトップが、2000年以降「職場や仕事で」から「友人・きょうだいを通じて」へと変わったことを明らかにしている。

pp19-20
これに加えて価値の多様化ということもある。現代の男女は、ハードなスケジュールの合間に趣味をもち、必ずしも仕事にだけ埋没しているわけではない。行動範囲も、交遊範囲も広がる。それはすなわち恋愛の可能性も広がるということで、「職場恋愛」と「恋愛結婚」が直結していた時代とは違う。

p21
男ならば、「4K」の女性――かわいい、家庭的、(家事管理において)かしこい、(体重が)軽い――を妻に迎えたいと考えるかもしれないし、女性ならば、「三低」―低姿勢、低リスク、低依存――の夫を求めたりするかもしれない。

p29
誰もがうっすらと気づき始めている、けれど誰もはっきりとは言語化してはこなかったそれらのことを、一度立ち止まって考えるときがきている。

p30
本書では、まず、限定的なデータから合コンという相互行為をミクロに分析し、そして参加者たちの意味世界に迫る。そこからさらに、彼ら彼女らによって生きられた経験を、マクロな文脈に置き換えていく。ここの男女の語りから、合コンという小さな社会を覗きこむと同時に、大きな社会のなかで合コンを俯瞰する――それがこの「合コンの社会学」の視座である。

p49
私たちの社会に厳然としてある階層性――学歴の、職業の、年収の、家柄の、容姿の……リストは続く――を、合コンでは回避することができる。

p105
こうしたサイン伝達や秘密会議のことは、男女ともによく知っている。誰かの箸がこちらを向いていたらどきどきするかもしれないし、咳払いが聞こえてきたら何かあると身構えたりもする。

p106
メタ・コミュニケイション

p109
その場にいた異性のことを話す「品評会」

p164
プリンス・チャーミングとの出逢い

p180
女性の選ぶ結婚相手の条件が、「三高」ではなく「三低」になったと言われて久しい。「三高」とはバブルの全盛期に流行った言葉で、言うまでもなく、「高収入」、「高学歴」、「高身長」の男性のことを指す。それに対し、「三低」とは、女性に対して「低姿勢」、家事などは自分でこなす「低依存」、資格などを身につけている「低リスク」な男性のことを指す。その背景には、行き先が不透明な社会情勢のもとにおける若者の不安感がある。