InDesign で移動するツメを設定する

現在制作中の本で、章を表すツメを付けたい。ツメとは辞書やマニュアル系の多くのように簡単に該当ページが見つかる、あの本の端に付ける目印だ。英語では thumb index と呼ばれていた(正式名称かどうかは分からない)。

さらにツメは章ごとに位置を移動させたい(=章ごとにツメの表示位置を変えたい)。

もちろん全ページに手動で配置するのは避けたいし、もしそうすればあとでページを編集することで位置がずれてしまったりするからね。

今回のツメは「あああ」「いいい」「ううう」・・・のような感じに任意のテキストにしたい(「ツメ用タイトル」と呼ぶことにする)。これは章タイトルとは別のテキスト。でも、その章タイトルの位置と連動させたい。

やや荒技だがその方法を考えたのでメモしておく。

InDesign で移動するツメを実現する方法自体は以下のサイトを参考にすればいい。これを考えた人はすごいなあ。

章番号に応じて移動するツメを作る: mottainaiDTP
http://mottainaidtp.seesaa.net/article/390432916.html

(1)[章タイトルをナンバリングする]

各章タイトルの直下に連番を振っていく。

InDesign では連番を振るのは自動化できないみたい。一応以下のようなスクリプトを使う手もあるけど。

InDesignで連番を挿入するスクリプト – arinoth’s memo
http://arinoth.hatenablog.com/entry/2014/04/23/000418

(これが後でツメの位置を移動させる種になる。)

(2)[ツメ用の文字列を記入する]

ナンバリングの番号のすぐあとに、各章のツメに表示するタイトルを記入する。すなわち「1あああ」「2いいい」「3ううう」・・・のようになる。

(1と2を章タイトル直下に書いたのは、文章を増減させても章タイトルと一緒に移動させるため。これによってツメの位置も連動する。)
(文章の構造上、タイトル直下に記入スペースがない場合、ページ外にテキストフレームを置いても、アンカー付きオブジェクトで章タイトルと連結すればいいのかも。)

(3)[1と2の文字列用に印刷されない色を作成する]

「スウォッチパネル>オプションパネル>新規カラースウォッチ」をクリック。スウォッチ名は適当に「ツメナンバリングカラー」とでもしてカラータイプは特色にする。そして、ツメ用タイトルに設定する目立つ色を設定。OK。

同様に2色目を作成。名前は「ツメ用テキストカラー」とでもしておこう。

再び「スウォッチパネル>オプションパネル>新規カラースウォッチ」をクリック。スウォッチ名は「紙色」などに設定し、カラータイプは特色にする。そして、シアン、マゼンタ、イエロー、黒、すべてを 0% にして、白色にする。OK。

「スウォッチパネル>オプションパネル>インキ管理」をクリック。ツメナンバリングカラーのカラースウォッチを選択し、インキエイリアスを作成した「紙色」にする。OK。

同様に「ツメ用テキストカラー」のインキエイリアスを紙色にする。

(4)「ツメナンバリング」と「ツメ用テキスト」という文字スタイルを作成し、それぞれの文字カラーを3で作成した色にする。これで印刷時には表示されなくなる(「表示>オーバープリントプレビュー」で確認できる)。

(5)1の数字部分に「ツメナンバリング」、2のツメ用文字列部分に「ツメ用テキスト」の文字スタイルをあてる。

(6)[数字のフォントを作成する(数字以外は不要)]

実体としてのフォントを作成するフォントを作成するのではなく、幅のみを設定するわけだ。2桁以上は合字(リガチャ)で幅を設定する。

Glyphs は有料アプリなので FontForge で作ろうとしたけど、あまり使い勝手が良くなくて挫折。

FontForge Open Source Font Editor
http://fontforge.github.io/en-US/

よく見ると前述の mottainaiDTP さんのページにサンプルファイルとして、作成されたフォントもダウンロードできるようになっているので(Num_haba-Regular.orf というファイル)、それを使わせてもらう。

(7)6のフォントを Font Book に加えて Mac で利用できる状態にする。

(8)「書式>テキスト変数>定義>新規」で「ツメナンバリング」というテキスト変数を作成する。

種類は「ランニングヘッド・柱(文字スタイル)、スタイルは4の「ツメナンバリング」、使用は「ページの先頭」として OK。

(9)同じく「書式>テキスト変数>定義>新規」で「ツメ用テキスト変数」というテキスト変数を作成する。

種類は「ランニングヘッド・柱(文字スタイル)、スタイルは4の「ツメ用テキスト」、使用は「ページの先頭」として OK。

(10)InDesign のマスターページで、ツメを置きたいページ端全体に大きめのテキストフレーム(縦組み)を置く(短冊状のテキストフレーム)。

(11)10 のテキストフレームに「書式>テキスト変数>変数を挿入>ツメナンバリング」をクリックして番号を挿入する。

(12)11 のフォントを6の Num_haba にし、文字の縦の長さを 800% などの大きな値にする。

この際「OpenType 機能」で「任意の合字」にチェックを入れておく。専用の文字スタイルを作成した方がいいかも。

(13)新規にテキストフレームを作成し、「書式>テキスト変数>変数を挿入>ツメ用テキスト」をクリックしてツメ用のテキストを挿入する。

(14)13 のテキストフレームをコピーし、11 の番号の後ろにインラインでペーストする。

これで実際に表示してみると、移動するツメになっているはず。細かいスタイル等を調整して完成(といっても、最後の位置調整でかなり苦労した)。