[Hackintosh] High Sierra から Mojave へのアップグレードまとめ

ここ何日かに渡って macOS を High Sierra から Mojave にアップグレードしたことを書いた。

[Hackintosh] グラフィックカードの交換 – with a Christian Wife
https://wacw.cf/2019/02/05/replacing-graffic-card/

[Hackintosh] Carbon Copy Cloner によるバックアップ – with a Christian Wife
https://wacw.cf/2019/02/06/carbon-copy-cloner/

[Hackintosh] High Sierra から Mojave へアップグレード – with a Christian Wife
https://wacw.cf/2019/02/07/upgrading-high-sierra-to-mojave/

[Hackintosh] High Sierra から Mojave へアップグレード2 – with a Christian Wife
https://wacw.cf/2019/02/08/upgrading-high-sierra-to-mojave-2/

今回は2台のマシンをアップグレードにし、両方について書いてきた。設定が違う部分もある。そこで、より抽象化したまとめを改めて整理してみることにした。今回もいろいろ勉強になることが多かったので、次回以降のための自分へのメモでもある。

まずそもそも Mojave のリリースから時間が経っているのにアップグレードをしていなかったのは、(現時点で)Mojave が NVIDIA のグラフィックカードに対応していないからだった。Mojave を動かすにはグラフィックカードを AMD 等に変える必要がある。2台のマシンとも NVIDIA だったので、新しいグラフィックカードの購入に躊躇していた。

グラフィックカードの購入に踏み切ったのは、自宅のネットワーク構成を変更した影響か、2台中1台のネット接続が不安定になったから。OS のアップグレードでよくなるかもしれないと思ったし、実際にアップグレードでネット接続も安定するようになった。そのマシンでアップグレードに成功したので、2台目もアップグレードしたわけだ。

AMD のグラフィックカードは単にマザーボードに刺すだけですぐ動作する。だから NVIDIA から AMD 差し替えるだけでいい。これに伴い NVIDIA Driver Manger をアンインストールしておこう。

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アップグレードの前に、当然バックアップを取る必要がある。私は Time Machine および Carbon Copy Cloner でドライブを丸ごとバックアップした。いずれのバックアップでも、他のマシンからデータを読み出せるし、OS 全体の復元もできる。

Mac Backup Software | Carbon Copy Cloner | Bombich Software
https://bombich.com/

ただ、Hackintosh の設定の変更はすべて EFI フォルダに対して行われる。これは OS とは別領域なので、また別個にバックアップを取る必要がある。Hackintosh にトラブルがあった際に、このバックアップと差し替えることで、Hackintosh に加えた変更を元に戻せる。

EFI フォルダをマウントする簡単な方法は Clover Configurator や Kext Updater といったアプリを使えばいい。

Download Clover Configurator | mackie100 projects
https://mackie100projects.altervista.org/download-clover-configurator/

profdrluigi / kextupdater / Downloads ― Bitbucket
https://bitbucket.org/profdrluigi/kextupdater/downloads/

EFI フォルダのバックアップはシンプルに丸ごとコピーするだけでいい。もし Hackintosh でトラブルがあったら、マシンからドライブを取り出し、別のマシンでそれを読み取る。EFI フォルダをマウントして、バックアップと差し替える。

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アップグレード前にもう一つすることは、Clover EFI Bootloader(Clover EFI、Clover インストーラーなどとも呼ばれる)および kext ファイルをアップデートすることだ。

Clover EFI Botloader は以下のページからダウンロードして使える。

Clover EFI bootloader – Browse /Installer at SourceForge.net
https://sourceforge.net/projects/cloverefiboot/files/Installer/

Clover EFI Botloader のアップデートは、インストール画面の Customize で、以下に “だけ” チェックを入れ、インストールした(余計な設定をするとトラブル時に問題解明が難しくなるので)。

・Clover for UEFI booting only
・Install Clover in the ESP

これで Clover EFI Botloader がアップデートされる。マシンの電源投入後右下にリビジョン番号が表示される。

kext のアップデートには Kext Updater が便利だ。更新が必要な kext ファイルをダウロードして集めてきてくれる(なお Clover EFI Botloader の最新版も一緒にダウンロードできる)。

profdrluigi / kextupdater / Downloads ― Bitbucket
https://bitbucket.org/profdrluigi/kextupdater/downloads/

最新版の kext を EFI>EFI>kexts>Other のものを差し替えればいい。ただ、なぜか一部の kext(FackeSMC.kext 等)では最新版を入れていても、再度 Kext Updater 更新チェックをすると、再び同じ最新版 kext がダウンロードされてしまう。 Kext Updater の問題なのか、あるいは更新が反映されていないのか、よく分からない。

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またマシンの一つでは apfs.efi を使用していたが、Clover 4558 以降では ApfsDriverLoader-64.efi を使うことで、自動で apfs.efi をロードしてくれるようになった。

Clover 4558で登場したApfsDriverLoader.efi – Boot macOS
https://bootmacos.com/entry/2018/06/19/202548

なので、EFI>CLOVER>drivers64UEFI から apfs.efi を削除し、同じフォルダに ApfsDriverLoader-64.efi を入れておけばいい。Clover EFI Bootloader で ApfsDriverLoader-64 にチェックを入れれば(他の項目は Clover for UEFI booting only と Install Clover in the ESP 以外チェックを入れない)インストールできる。

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これらを済ませた上で Mojave へアップグレードする。Mojave のインストーラーは AppStore からダウンロードする。ダウンロードしたファイルは Applications フォルダに入るが、アップグレード後は削除されるので、別の場所に保存しておくとよい(のちのち再インストールの時などに使うかもしれないので)。

あとは普通にインストールを進めて、アップグレーを完了させる。

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アップグレード後にいくつか問題もあった。

まず、Wi-Fi アダプタ として TP-LINK TL-WDN4800 を使っているマシンが Wi-Fi に繋がらなくなった。Wi-Fi アダプタ を TP-LINK WIFI AC1900 PCI-Express Archer T9E に交換することで直った。

また、使用可能な USB ポートが制限されるようになり、USB 3.0 が使えなくなったりした。これに関しては、High Sierra では USBInjectAll.kext を使用し、config.plist にパッチをあてることで解決していた。パッチを更新すれば直ると思いきや、2台中1台ではパッチが効かない。仕方ないので除外する USB ポートを設定することで解決した。除外ポートの設定の方が、アップでグレードのたびにパッチを更新しなくていいので、今後はパッチが動いているほうに関しても除外ポートの設定をする予定だ。USB ポート関係の詳細は以下のエントリーを参照。

Mojave 10.14.3 での USB ポート制限問題 – with a Christian Wife
https://wacw.cf/2019/02/09/unlock-usb-port-limite-on-hackintosh/

他にも起動、シャットダウン・再起動関連のトラブルについての対策についても書いた。

[Hackintosh] 起動、シャットダウン・再起動でのトラブル – with a Christian Wife
https://wacw.cf/2019/02/10/boot-reboot-shutdown-problem-in-hackintosh/

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なお、OS のアップグレードの際に(あるいはクリーンインストールの時も)どうしても OS が起動しない場合、裏技がある。Hackintosher のサイトではサンプルの EFI フォルダを公開しており、それを使わせてもらう。以下は場バージョン 10.14.3 の場合だ。

Hackintosh Mojave 10.14.3 Update Guide – Hackintosher
https://hackintosher.com/guides/hackintosh-mojave-10-14-3-update-guide/

念のため SUBIOS は自分用に書き換えた方がいい。

正しく機種設定する (SMBIOSの設定) – Boot macOS
https://bootmacos.com/entry/2017/09/18/195205

実際に試してみると、普通に Mojave が動いた。もちろん、自分できちんと理解して設定するのが一番なんだけどね。

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Mojave にアップグレードして改善したことがいくつかある。

・High Siera でちゃんと機能していなかった Mac から iOS への Handoff や AirDrop がちゃんと機能するようになった。Mac と iOS とでクリップボードの共有もできるようになった。
・iCloud Drive の同期が遅かったが普通になった。
・iOS との Wi-FI パスワードの共有がうまくいかなかったが、動作するようになった。
・Power Nap が有効になった(ただ不具合の原因になりそうなので念のためオフにしておいた)。

問題点もある。
・HDMI で音声出力ができなくなった。オーディオミニジャックなら使える(2台中1台のマシンで)。
・iOS の Personal Hotspot に Mac から Wi-Fi ボタンでアクセスできるようになったが、実際にクリックしても接続はできない。

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今回のアップグレードは何日にも渡って試行錯誤を繰り返した。設定をいろいろ変えて試したので、どう設定したら、どういう結果になったか、ノートにいちいち細かくログを書いていた。このお陰で、混乱を最小限に抑えることができた。