[読書メモ]『出生前診断』

p10
「出生前診断」(読みかたは、しゅっせいぜんしんだん・しゅっしょうぜんしんだん・しゅっしょうまえしんだん、どれでも可)

p15
1990 年代に始まった国際的なプロジェクト「ヒトゲノム計画」がヒトの DNA を初めて解読したときは、3500 億円という膨大な費用と十余年もの年月がかかった。ところが、いまでは次世代シーケンサーが自動で、それもわずか1~2日ですべて読んでしまうようになり、解読コストはみるみる下がった。

p37
10 万人に1人より多く発生する病気もたくさんあるので、実際には、検査を受ければ、ほとんどの人が何かしらの病気の保因者だと判定されると思います。しかし、保因者であることの意味を、一般の人たちがどこまで理解しているかが問題です。」

p37
現代人は、あらゆる場面で健康に関するミニ知識やデータに接し、不安が煽られ、気がつくと財布を開くという仕組みに取り込まれている。

p49
いま、女性たちは不安な情報に囲まれ、その咀嚼(そしゃく)に苦しんでいる。

pp60-61
「出生前診断に賛成か、反対か」と熱く論じたり、両者の気持ちを持っていることを「ダブル・スタンダード」と言ったりするのは、私にはとても男性的な感覚だと感じられる。

p157
赤ひげの時代ならともかく、現代は患者も知識を得て、医者とともに治療方針の選択にかかわる時代だ。

p168
情報提供は、生命倫理の原点である「オートノミー」(自律性、自己決定権)の大前提である。

pp169
法律家の山田氏は、医師が何から何まで知らせるわけにはいかないだろうと意見を述べている。過剰な情報は有害となり得るし、昨今の情報提供をめぐる医事訴訟を見ていると、医師に求められている負担が大きすぎるという。

p177
2000 年代に入ると女性たちの晩婚化は一段と進み、それに伴って国内の出生前診断の件数はじわじわと上がっていった。

p196
私たちは、そろそろ気づくべきではないだろうか。高度な検査機器の使用が日常化した現代では、もはや産婦人科にかかること自体が出生前診断そのものになっていることに。

p205
妊娠 11 ~ 13 週が、初期の胎児超音波検査には最適な時期だからだ。

p238
ファイティングポーズを要求するマスコミ

p242
是非論を問う議論は過去のものだ

p247
欧米には、社会には自分とは違う考えの人もたくさんいて、他人の考えも尊重すべきだという価値観が在るように感じる。日本は、それを苦手としてきた国だ。

p263
治療に関わる医師より、非医師のカウンセラーのほうが純粋な第三者として、中立的に関われるという指摘もある。

p263
ピアカウンセリング