[読書メモ]『フェルメール展 公式図録』

p37
可能な限り高い水準を達成するために、ほとんどの画家たちは自らの興味と適正に従って、すぐに専門化していった。歴史的な出来事や日常生活の情景を描くことに集中するものがいれば、肖像画ばかり描く者もいたし、静物画や動物画、あるいは風景画に特化する者もいた。それぞれのジャンルの中で、画家たちはさらに狭い領域に努力を集中するのが普通だった。

p164
17 世紀オランダの絵画には、しばしばイスラムや東アジアの織物が描かれているが、これは、デルフトのような都市が貿易の拠点として世界とネットワークを構築していたことを思い起こさせる。

p190
フェルメールにおける光は透過率 100 パーセントとは言えない窓を通しての、濾過された、オブラートに包んだような柔らかい光である。

p214
ワイングラスを持つ娘[…]奥にはもうひとり男性が座って頬杖をつき、そっぽを向いている。この男は手前の2人とどういう関係にあるのか? これについては、2人の男は同じ髪型で服装もよく似ていることから、じつは2人は同一人物なのではないか、同じ人物の異なる時間を描いたものではないかという興味深い解釈が出されている。

p218
手紙を書く女[…]ピントの合った部分とボケた部分が巧みに描き分けられ、カメラ的な眼を感じる1枚である。