[読書メモ]『多動症の子どもたち』

p22
診察室では落ち着いている「多動」の子どももいれば、診察室でもどこでも動きまわる「多動」の子どももいるという、二通りがあるということになります。/こうした特徴が、家庭と学校・保育園などのあいだで責任のなすり合いという問題に結びついたりします。

p33
ある特定の状況、たとえば家庭や教室、あるいはある課題の時間など、そのときだけ多動の症状がでるという場合は、その環境要因を検討してみることが必要です。

p73
いかに本人に自信をつけさせていくかが大切ですから、罰を体系的に使うような行動療法は避けるべきです。

pp74-75
共感も大切なことです。うまくできなかったときには、くどくどと説教するのではなく、挫折感やくやしい気持ちを汲んでまず共感してあげることです。そうしてチャレンジしていく意欲をひきだしていくことで、次回はよりスムーズにできるようになっていきます。長い説教や激しい叱責はあまり意味がありません。劣等感が増幅し、自信をなくし、本人はさらに混乱するだけです。どうしても注意しなければならないときは、短く簡潔にわかりやすく伝えるようにすることです。

p80
「不安は不安を呼ぶ」ということです。親や教師が不安を示すと、それがもろに子どもに影響して、子どもの多動は強まり、行動が著しく乱れることがあります。

p83
罰を使って行動を減少させる行動療法を嫌悪法と呼んでいます。しかし、多動症の子どもに対して嫌悪法を用いることは、体罰などと関連して、倫理的に問題がありますので、慎重さが必要となります。