[映画][レビュー]『岸辺の旅』

映画の会の課題作なので観てきた。

映画『岸辺の旅』公式サイト
http://kishibenotabi.com/

ちょっと寝てしまった。

相変わらず深津絵里さんは存在感が生々しい。「こういう人、いそう」と思っちゃう。だからリアリティーがある。

死んだ夫または妻が幽霊として戻ってくるという点で、『夫婦フーフー日記』と同じだ。また、幽霊じゃなくても、いなくなった人が突然戻ってくるってのは、映画としてよくあるモチーフである。フィンランド映画『旅人は夢を奏でる』はずっといなくなっていたお父さんが帰ってきて一緒に旅をする話だった。

なぜこういう話が映画としてよくあるのか。それは、「忘れた頃にふとよみがえる」という点で、「記憶」と同じだからだと思う。記憶ってついてまわるものでしょ。誰だって思い残したことがあるし、それが亡霊のように突然よみがえる。そう、人は誰しも、「どう過去と折り合いを付けるか」ということに悩んでいる。幽霊が出てくる話で一見荒唐無稽な映画なようで、普遍的な物語なのだ。

本作は、幽霊となって戻ってきた夫と、過去に捕らわれた人に次々と会っていく。なるほど、そういう人との出会いを通じて、自分たちも過去との決別をする話か・・・。と思っていたら!!! 本作にはその「思い残したこと」がないのだ。ただ幽霊として夫が帰ってきて、また行ってしまった。それだけなのだ! いったい何が言いたいのだろうか。

まあ、日本映画やヨーロッパ映画ではこういうことはよくある。主人公は成長しているように見えなかったり、分かりやすい教訓はないんだけど、独特の感情がわき起こるタイプの映画。

『夫婦フーフー日記』のようにコミカルにしてもいいものを、本作は幽霊との共存を淡々と描いてている点で面白い。冒頭から何の説明もなくすっとその世界観に観客を引き込んでいる。

気になったのは、あの深津絵里さんが書いた 100 枚の紙。冒頭で「旅から帰るときに燃やそう」と言っていたから、ラストで燃やすのは明らか。案の定映画の最後で紙を燃やすし、浅野忠信さんも消えていった・・・。芸がないなあ。伏線というのは観客が忘れた頃に回収してほしい。

平日の昼間だからか観客が私一人の貸し切り状態だった。

もぎりの際にポストカードをもらえた。

評価:3/5

鑑賞日:2015-10-15(木)12:25~14:50
映画館:イオンシネマ ワンダー
スクリーン:スクリーン9
料金:1800円