[読書メモ]『「知」のソフトウェア』

p11
だいたい放送局のアナウンサーの話す平均的スピードが1分間に3百字である。

p14
最初に速読を求めてはいけない。速読は結果である。

p18
本というのは、1ページ目から読みはじめて、最後のページまで読むものなのだ、というような固定観念は捨てることである。

p21
目的先行型インプットは能率があがるが、能率をあげすぎると欠陥が出てくる。目的に関係ない部分をどんどん切り捨てていけば、自分が設定した目的から一歩も出られないことになるからである。

p52
個人的情報整理で常に心がけておくべきことは、他人が利用する場合の便など一切考えずに、これは百パーセント自分専用であるという大前提をたてて、可能な限り手間をはぶき、可能なかぎり自分に利用しやすい工夫をこらすことである。

p90
とはいっても、新しい仕事に取りかかる前に、心ゆくまで存分に準備できたということは一度もない。いつも準備不足に心を残したまま、時間切れで、新しい仕事にとびこんでいる。だから、スタートしてからも、毎日毎日、準備不足だったところを学び直していくことになる。

p91
私は、原則として本は買うべきものと心得、図書館に行くのは、図書館でしか見つけることができないものを見にいくときと決めている。/市民の読書生活において、図書館が中心的役割を果たすべきだなどという人がいるが、私は大反対である。公営で無料の大食堂をあちこちに作って、そこを市民の食生活の中心にすべきだなどというバカげた意見を唱える人は共産圏でも少ないだろう。読書は精神的食事である。自分で読む本くらい自分で選んで、自分で買って、自分の手もとに置き、好きなときに好きなように読むべきである。

p96
書店で目的の書架の前に立ったら、本を一冊一冊取り出してみるがよい。目次をさっと見て、はしがきをざっと読み、中身をパラパラめくりながら、ところどころ拾い読みする。巻末の参考文献、索引、あとがきなどに目を通す。発行年月日、重ねられた版数、著者略歴なども見ておく。経験を積めば、それだけで相当のことがわかるものだ。人を見る目を持つ人なら、五分くらいの面接試験で人を選んでほとんど誤るところがないのと同じである。

p98
1冊の入門書を3回くり返して読むより、3冊の入門書を1回ずつ読んだほうが3倍は役に立つ。

p103
どんな領域のことでも、書物を通じてはアップ・ツー・デイトな情報は得られない。そういう情報は、定期刊行物にある。

p113
こうした官庁情報を利用する上で注意しなければいけないことは、それが特定の行政目的を達成するために作られた、客観性をよそおいながら実は客観的でない資料である場合も多いということだ。最近各官庁とも、一件客観的な資料のみを用いた情報操作に実に巧みになっている。

p126
問うべきものを持つとはどういうことか。第一に、知りたいという欲求を激しく持つことである。

p204
読者への媚びが読み取れる文章ほど嫌味なものはない。

p223
プロの取材記者にとっては、三次情報を含めそれ以下の情報源は、ほとんど取材に値しないといってよい。[…]三次情報以下の情報源は、もっぱら真の情報の所在を知るためにしか利用しないということだ。

p229
とにかく「一歩でもオリジナル情報に近づけ」という原則を常に忘れぬことである。

p230
ジャーナリズムの本来のあり方は、やはり、ファクトそのものの追求にあるはずである。