[読書メモ][Kindle]『年収は「住むところ」で決まる』

『年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用とイノベーションの都市経済学』を読んだ。久しぶりにエキサイティングな内容の本だった。翻訳書は読みにくいことが多いが、本書は読みやすかった。

Loc 161
いかなる物理的な部品よりもアイデアが重要な時代がやって来たのである。部品をつくることはさほど難しくないので、それだけでは大きな価値を生み出せない。歴史上はじめて、目に見える物体や貴重な天然資源ではなく、革新的なアイデアが希少性をもつようになった。

Loc 305
イノベーションを起こすためには、適切な「エコシステム(生態系)」に身を置くことがきわめて重要だ。とくにハイテク分野の企業が成功できるかどうかは、従業員の質だけでなく、地域の経済環境の質にも左右される。

Loc 600
グローバル化した経済においては、あらゆることに卓越している必要はないからだ。それを目標とすべきですらない。自国で生産するのが得意なものだけをつくり、それ以外のものは、他国に生産させて輸入するほうがよほどいい。デヴィッド・ベッカムはサッカーに専念し、住む家の建設や、髪の毛のカット、衣服の製造はほかの人に任せるべきだろう。これが経済学で言う「比較優位」の考え方である。

Loc 695
国を貧しくする要因は、不況、歯止めなきインフレ、内戦などさまざまだが、国を豊かにできる要因は生産性の向上だけだ

Loc 1128
本当に飛べ抜けた人材は、まずまず優秀な人材より少し優れているという程度ではない。100倍は優れている[。]

Loc 2647
公式・非公式の人的交流が盛んになると、知識の伝播が促進される。そうした知識の伝播は、都市や国の経済成長を牽引する重要なエンジンと考えられている。

Loc 1784
社交範囲内にいる喫煙者の数が10%増えると、本人の喫煙率も3%上昇する

Loc 1832
人々が社会・経済階層ごとに別々の町に住むようになるにつれて、自分と似たような人だけに囲まれて育つ人が増えている。そういう人は自分と異なる考え方に触れる機会が乏しく、極端な考え方をいだきやすい。

Loc 1997
サンフランシスコに来て、この土地の人々と一緒に仕事をし、多くの人から助言を得ることで、思考のスケールが大きくなり、これまでよりも野心的にものを考えられるようになった。おかげで、さらなる高みを追求できるようになった[。]

Loc 2046
大きかったのは、(シリコンバレーの)ものごとのスピードが速いこと

Loc 2303
聡明な人に囲まれている人は、みずからもいっそう聡明で創造的になり、生産性が高まることが多い。

Loc 2429
変化に適応するか、さもなくば死か

Loc 2549
イタリアの若者はなかなか親元を離れようとせず、13〜30歳のイタリア人男性の82%が実家で暮らしている

Loc 2574
イタリア人などのヨーロッパ人はあまり移住せず、親や友達のそばで暮らすことを優先させる結果、キャリアを発展させる機会や高給の職に就くチャンスを捨てているケースが多い。

Loc 2610
ヨーロッパ諸国でおこなわれた調査で「あなたは出身の町や村に強い結びつきを感じていますか?」という問いに、「まったく感じていない」「あまり感じていない」と答えた人の割合は、国民の平均的な教育レベルが高いフィンランド、デンマーク、オランダで高く、平均的な教育レベルが低いスペインやポルトガルで低かった[。]

Loc 2630
移住は投資に似た面がある。

Loc 4091
ほとんどの人にとって、大学に進学することは割に合う投資だ。