[読書メモ]『イギリス近代史講義』

p10
結局、「地球は一体である」ということの結果として、資源・環境問題があり、この根本には、進歩とは何なのか、経済成長とは何なのか、という問題があると思うのです。

p19
18 世紀から現在にいたる工業化の時代全体を通して、はっきりとしていることは、われわれの生活環境が、圧倒的に都市的になってきたということである。

p24
ヨーロッパ全体がそうかもしれませんが、イギリス人の生活の基本は教区(parish)中心に成立していました。

p73
英語にも「田舎者」という言葉があります。country bumpkin などと言いますが、英語には「都会者」という言葉はついにありません。

pp99-100
現在、われわれがロンドンとよんでいるところには、世界の金融街として知られているシティ・オブ・ロンドンと、国会議事堂のあるシティ・オブ・ウェストミンスタという二つのシティがふくまれています。

p120
最後の審判(ドゥームズデイ)

p175
日本ではこういう建物をつくるには、まず土地を買わなくてはなりませんが、イギリスは土地を買うという習慣は一般にはありません。

p205
ロンドンではふつうの意味での産業革命は起こっていません。ロンドンは、シティを中心とした金融の世界で、産業革命が起こっているのは、はるかかなたのランカシア地方や中部地方です。

p243
イギリス経済の本質は、産業資本主義ではなく、ジェントルマン資本主義、つまり、資産を他人に貸しつけることで利益を得る地主・金融資本的なものにあったとする学説は、このあとも、たとえば、P・ケインと A・G・ホプキンズの共同作業に引き継がれていきます。

p248
人間の欲望はどんどん拡大していく。右肩上がりに上がっていかなくてはならないという、[…]「成長パラノイア」です。

p252
私は祭りが嫌いです。歴史学の世界で、社会史というものがはやりはじめた 1970 年代には、やたら「民衆文化」とやらを持ち上げる人たちによって、それが「民衆の力のシンボルのように言われたものです。しかし、私にとって、村祭りは、否かの共同体の排外的な雰囲気の象徴でしかありません。あれは、もはや日本に「田舎」がなくなり、それを知らない都会人たちが、勝手にめぐらせた妄想であったと思っています。