[読書メモ]『イギリス観察辞典』

p60
食事の部屋と、食後のお茶の部屋とを別にするのはイギリスの伝統のひとつである。

p87
イギリスでは昼休みは午後一時から午後二時までというのが普通である。

p146
骨董は一期一会である。/それ以来私は、ちょっと高いかなと思っても、また持ち帰るのが大変かなと思っても、欲しいと思ったものはたいていすぐに買うことにしているのである。

p155
日曜日の昼食はサンデイ・ランチと言って、イギリスでは一週間で一番のご馳走を食べる習慣である。

p184
いわば合理主義からはちょっと外れた道楽としての古着趣味である。これが金のある階級の人であればあるほど「かっこいいボロ着」というあんばいになっていくのは当然のなりゆきである。で、そういうのを英語でインヴァーテッド・スノベリー(inverted snobbery=逆転せる紳士気取り)ととなえるのである。

p241
そこまで私が言いかけると、ヤード婦人の顔がさっと紅潮し、まさに我が意を得たりという確信に満ちた断固たる口調になった。

p293
なにごとも、「一流」を見るということが、もっとも肝心なことである。それが目や耳を養い、ひいては芸術を甘なう感受性を涵養(かんよう)するのである。

p297
映画は、壮大な虚構(うそ)の世界である。その「うそ」を「まこと」に変える錬金術は、ひとえに隅々まで行き届いたディテイルの「ほんとうらしさ」である。

p303
「イングランドでは一日の内に四季がある」

p309
日本の夏は、イギリスに比しては、遥かに遥かに熱帯的である。脳天を灼(や)くほどの日差しと湿度、夥(おびただ)しい害虫、そういうところでは庭に暮らすのは、よほどのやせ我慢が必要だ。