[読書メモ][Kindle]『マンションは日本人を幸せにするか』

Location: 57
日本三〇、アメリカ五五、イギリス七七。/これは「滅失住宅の平均築後年数の国際比較」というもので、国土交通省の推計値だ。

Location: 60
日本の住宅というものは、木造一戸建てや鉄筋コンクリート造のマンションも含めて、平均で三〇年ほど経過すると壊されている、というのだ。

Location: 92
日本で売買される住宅は新築が主流だが、アメリカやイギリス、フランスでは中古が基本。イギリスでは、売買される住宅の約八六パーセントが中古。アメリカでも約九割。

Location: 95
それに比べて、日本では八割以上が新築。日本人は、異常なほど新築好きなのだ。

Location: 175
私にとって「マンション」は三〇年間お世話になり続けているビジネスフィールドである。

Location: 242
「ドゥ・トゥール」はフランス語。英語でいうとTwin Towersだそうだ。ほとんどの人には意味不明だし、カタカナとしてキーボードで入力しにくい名称だ。口頭で説明するのも難しい。

Location: 244
不動産業者は、自分の売るものを必要以上に高級に装いたがる悪癖がある。

Location: 312
日本人はすでにマンションでの暮らしが、プライバシーの守られた快適なものであることを知ってしまっている。

Location: 738
例えば、社会主義や共産主義は個人の財産を否定するところが出発点である。

Location: 866
近年では、このモデルルームのことを「マンションギャラリー」や「プレゼンテーションルーム」と称するケースが多くなった。中身は同じである。

Location: 1,067
この業界、何ともまとまりがない。自社さえよければいいというエゴイズムが強く、どこの企業にも、「この業界を発展、進化させていこう」といった意識をほとんど感じない。

Location: 1,094
契約を急ぐのは不動産営業の常套手段。冷静に考える時間を与えると、客が迷い出して買わないケースが多いからだ。

Location: 1,237
売り手と買い手は、それぞれ「高く売りたい」と「安く買いたい」という利益相反関係にある。民法では、利益相反関係にある両者の代理人になることは「双方代理」として禁止されている。  不動産仲介業者による両手仲介は、限りなく双方代理に近い行為である。当然、法律で禁止されてもよいと私は考えるが、現実にはそうなっていない。日本では一〇〇パーセント合法。しかし、欧米では原則禁止になっている国や州が多い。

Location: 1,607
日本人は「土地を所有する」ということにこだわる民族なのだ。今は「一生懸命」と書くが、元は「一所懸命」が正しかったという。  平安時代から鎌倉時代にかけて、貴族や寺社関係者以外の人間が、日本史上初めて土地の実質的な法的所有権を手にした。一旦手に入れた土地を、何が何でも手放さずに子孫へと継承する。そうした鎌倉時代の小領主の思いが「一つの地所に命を懸ける」、すなわち「一所懸命」という言葉になった。