[読書メモ][Kindle]『傷はぜったい消毒するな』
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教科書とは所詮、その時代の常識をまとめたものに過ぎない。
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内科と外科の違いは何かといえば、大雑把 にいうと「薬で治す内科」、「手術で治す外科」となる(一昔前には「体の 外 しか見ない 内科」、「体の 内側しか見ない 外科」というジョークがあった)。
Location: 677
世の中には「何か起きたらどうする」というネガティブ思考の医療関係者が圧倒的に多いのである。
Location: 1,007
また患者にとっても、石炭酸のいかにも「化学むき出し」といった感じのする臭い(ひと昔前の「病院の臭い」はこの石炭酸の臭いである)は、新時代の治療を象徴するものに感じられ、その臭いに「最新治療を受けている」という安心感を覚えたのだろう。
Location: 1,303
この教育システムの欠点は、その方法が正しいのかそうでないのか、普遍的な方法なのかそうでないのかの検証を誰もしないという点にある。
Location: 1,375
軟膏の基剤が油脂性(=白色ワセリン)かクリームかは、見ればすぐにわかる。半透明なのが白色ワセリン、白や黄色などの色がついていて不透明なのがクリームである。
Location: 1,426
治療方法は単純明快であって、乾燥を徹底して防ぐこと、これだけである。
Location: 1,740
ダーウィンにしろコペルニクスにしろ、彼らはなぜ全く新しい考えに到達できたのだろうか。それは、現実に起きている事実に対し先入観を持たずに虚心で観察したからだろう。
Location: 1,745
先入観を一番捨てにくいのは誰だろうか。それは専門家だ。専門家は自分の専門知識が正しいことを前提に考えるから、もしかしたらそれが間違っているかも、とはなかなか考えられない。
Location: 2,034
素人にはわからないようなわずかな違いを得るために、全精力を傾けるのが専門家であり、専門家はその努力を 怠ってはいけない。しかしだからと言って、その「努力」を患者に押し付けるのは本末転倒であり、医師の自己満足に過ぎないのだ。
Location: 2,037
なまじ高度な縫合技術を持ってしまうと、自分の持っている技術を発揮することが治療の目的に置き換わってしまう。これを私は「手段の目的化」と呼んでいる。
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医学は科学たりえようとする努力を忘れてはいけないし、科学に近づくための自己改革を常に続けなければいけないと思うのだ。「物理学のような再現性がないから」という理由で科学的思考過程まで放棄するのは、一種の敗北主義としか思えないのである。