[読書メモ]『誰が星の王子さまを殺したのか』

p38
虐待者が被害者を支配する際に重要な役割を果たすのが、被害者の抱く「罪悪感」である。それゆえ、自分自身に罪悪感を抱いており、それを解消しようとして責任感を強く感じる人が被害者となりやすい。

p44
何の役に立つの(=何の役にも立っていないよね?)

p61
この手の込んだ策謀によって、被害者は混乱に陥る。このような矛盾したメッセージを送り込み、被害者を混乱に陥れることで、モラル・ハラスメントは成立する。

p69
モラル・ハラスメントの加害者は、被害者を混乱に陥らせてその思考力を奪っている。この事態は、被害者が感じていることなど単なる思い違いだ、と思わせることで成立している。そうすることで、攻撃が攻撃だとわからないようにして傷つけ、支配するのである。

p72
モラル・ハラスメントの被害者は、こういった劣等感を強く感じるように操作されており、それを埋め合わせるために人に何かをして、認められようとする。

p79
「飼いならす=関係をとり結ぶ」という考えは、元来は非対称であるものごとを、対称的に見せる、という欺瞞を含んである。このような非対称性の隠蔽は、モラル・ハラスメントの観点からすると、非常に危険な行為である。/というのも、「加害者/被害者」という非対称性を隠蔽し、「お互いさま」というように見せかけるのが、虐待者の陰謀の中核だからである。

p105
実のところ、我々の社会にはモラル・ハラスメントが蔓延しており、そのような邪悪な要素によって形成されている歪んだ人間関係が随所に見られる。

p120
奇妙な現状肯定の思想を埋め込むことであった。

pp152-153
私は、この事実、つまり「お前のためだ」といって子どもにさまざまの形態で加えられる暴力こそが、人類のすべての問題の根源である、という事実が、何よりも重要な知識だと考える。また、この暴力が、殴る蹴るといった物理的身体的なものにとどまらず、侮辱・嘲笑・無視などを含んでいることに注意すべきである。

pp212-213
子どもは親の暴力に対して極めて脆弱だからである。こうして親子間で虐待が連鎖する。それが社会の悪の根源だというのが、アリス・ミラーの思想である。