[読書メモ]『日本的想像力の未来』

p81
それ以降、恋愛を描いたマンガやドラマや映画は、総じて「あるある系」的な記号になりました。そこには、関係性の履歴が構成する入替不可能性はもはやなく、主体を誰とでも入替可能な記号だけがあります。関係性の履歴は「成長」を可能にしますが、記号の消費は「成長」とは無関係な営みです。

p97
すなわち、「成熟しなければならない」という規範、一種の強迫観念です。ヴィンセントさんが指摘された、「ふつうの国」になりたいというネオナショナリズムの問題ですね。

p107
手持ちビデオでガタガタと揺れる画面は、まあ誰にでもできる、15 年くらい前にデンマークの監督ラース・フォン・トリアーが流行らせた技術

p170
ライプツィヒでは 17 世紀から開催されているドイツで2番目に大きなブックフェアがあるのですが、近年はそのブースのほぼ4分の1がマンガやアニメ、ファンタジー、コスプレなど日本ポップカルチャーに関連したものになっています。

p212
非正規雇用労働者の問題を「フリーター」という和製英語を用いて議論すること自体が、ドメスティックな問題をグローバルな問題系の中で考えることの可能性と困難とに結びついています。

p254
何かを語るということは、つねに対象を単純化するということです。そのリスクを引き受けないのであれば、何も語れないのではないでしょうか。