[読書メモ]『西洋近代を問い直す』
p259
しかし、人間が神を見失えば、つまり宗教を見失えば、資本主義や近代市民社会の合理性は硬直化していき、むしろ非合理なものに転化してしまう。近代人はもともと、ある種の倫理観念をもって、真面目に勤勉に働いてモノをつくろうとしました。しかし、この勤勉の精神は、禁欲的倫理を見失うことにより単なる自己利益追求の精神、一種の野蛮な精神へと変形されていってしまうのです。/つまり、宗教的精神の下支えがなければ、近代社会はやがてこういう硬直化した野蛮な社会になっていく。