[読書メモ]『仕事選びのアートとサイエンス』

p4
私たちが一般的に考えている「20 歳前後で働き始めて、60 歳前後で引退する」という人生モデルは過去のものとなり、多くの人が「20 歳前後で働き始めて、80 歳前後で引退する」という長期労働モデルにシフトせざるを得ななります。/しかし一方で、働く場所である「事業の寿命」は、どんどん短命化の傾向にあります。例えば米国における S&P 500 の構成企業の平均寿命は、1960 年代には約 30 年だったのが、今日では 10 年足らずしかありません。

p7
未来がここまで不確実になってしまった現在、あらゆる領域において「計画」の持つ価値はどんどん目減りしています。

pp19-20
「召命」と「天職」。日本語では全く異なるニュアンスを持つこの二つの言葉が、英語では Vocation あるいは Calling という一つの言葉で表されるのです。つまり天職とは自己によって内発的に規定されるのではなく、本来は神から与えられるもの、と考えられていたということです。/この事実は、天職というもののありようについての我々の一般的な認識に、大きなゆさぶりをかけます。すなわち、天職とは本来、自己を内省的に振り返ることで見出すものではなく、人生のあるときに思いもかけぬ形で他者から与えられるものではないか、ということです。/これは「自分は世界に何を求めているのか」という、我々がいつも抱えている問いを、「世界は自分に何を求めているのか」という問いへと 180 度切り替えることを意味します。

p29
一番確実な未来予知の方法は、未来自体を作り出してしまうことである。/ピーター・ドラッカー「マネジメント」

p36
ちなみに私は、履歴書も職務経歴書も、通常用いられるフォーマットのものではなく、自分でオリジナルのフォーマットを作成して使用しています。

p37
「いいフォーマットがあるはずだから、世の中からそれを探そう」という性根に染みついた教科書的アプローチ、正解を「外に」探すアプローチは忘れて、正解を「中に」探すアプローチをとってみようということです。

p54
日本ではむしろリスクをとったほうが有利だ、という考え方です。なぜか?/理由は単純で、リスクをとる人が少ないからです。リスクをとる人が少ないということは、「チャンスがそこにある」というときに、リスクをとってそれを獲得しようとする人が少ない、ということを意味します。これを競争戦略の枠組みで言えば、心理的な参入障壁が高いために競合が少ない、ということになります。

p57
それだけ「抜け駆け」に対する社会的な圧力や規範に、我々が強く縛られているということでしょう。

p75
私が常々「会社と従業員との関係は貸し借りなしがいい」と主張しているのも、その点に大きな理由があります。会社との間で貸し借りの関係が発生すると、自分の人生を自分で主体的に意思決定してコントロールする自由度が下がってしまうからです。

p77
企業側から見て「入れ替え自由」になる、ということは、同時に従業員側から見れば「選択自由」になる、ということです。

p99
根気よく粘り強く続けられることのほうが資質とか才能より大事な要素なのかなとは思ってます。

p140
「親友ゾーン」は趣味・思考が似てくるので、自分にとって「思いもよらない縁」を持ち込みにくいし、そもそも数が非常に少ないのです。

p143
仕事のいい縁を呼び込むためには「何でもない毎日をていねいに生きる」ということに結局はつながります。

p166
「眠いときに読まない」

p167
ある分野の書籍を一時期にまとめて読むと、一冊一冊の本の内容が相互に連関し始め、より強固に頭の中に定着するようになります。

p180
「平均への回帰」という言葉を聞いたことがありますか?/簡単に書けば、いいことが続けば、その後悪いことが起こり、悪いことが続けば、その後いいことが起こる。結局は長い目で見れば「平均値」に落ち着いていく、ということです。

p206
例えば音楽の世界では、子どもに褒美をあげて練習をさせてはならない、という鉄則があります。褒美で釣って練習させると、その子自身が持っている「楽器に向き合う」「上手になるのが楽しい」という内発的な動機を麻痺させてしまう恐れがあるからです。