[読書メモ]『タックス・ヘイブン ー逃げていく税金』
難しい話も多いけど、ものすごくエキサイティングな内容だった!
p22
MI6 は通常、職員の身分を明かすことはないが、長官だけは例外である。
p42
国際会議は国益のせめぎ合いの場でもある。舞台の裏側では、火花を散らして剣を交えているのである。
p90
経済的に苦しくなると、ついハイ・リターンに目が行くという人間心理である。
p116
このような事件から見えてくることは、国際取引が発展を遂げているとはいっても、じつはその多くの部分が多国籍企業の中でのグループ内取引であるという実態である。多国籍企業は、グループ内で価格操作をすることによって税率の低い国や地域に利益を付け替えたり、ぶつけることができる損失のある国の関連子会社に利益を付け替えたりすることが可能なのである。
p127
個人的な見解を述べさせてもらうと、筆者は FATF に対しては不信感をいだいていた。それは、諜報機関の関与についての皮膚感覚が根源にあるからである。第1章でも紹介したように、旧宗主国はその会議の席上、旧植民地国のタックス・ヘイブンをあからさまに擁護するような態度と行動をとることがある。タックス・ヘイブンでは、諜報機関が犯罪収益を利用するようなダーティなことをする場面もある。CIA(中央情報局)によるイラン・コントラ事件はその一例である。
p133
どこかの政府が合理的な説明のつかない、訳のわからない行動をとったときには、それなりに裏の事情がある。
p145
テロ対策には、テロ資金封じが有効であると考えられる。ただし、テロを根絶するには絶望と自暴自棄を生む貧困問題を解決しなければならない。
p177
世界経済の危機に果たしている機能という観点から見るならば、タックス・ヘイブンもオフショア金融センターも、ともに同じものである。/そして、あからさまには言わないが、「マネー・ゲームという悪事に荷担していることからすれば、ロンドンとニューヨークの方が、よほどタチが悪い」という意味が込められていることも知っておくべきである。
p180
「タックス・ヘイブンが悪いのではなく、タックス・ヘイブンを利用して悪事をはたらく人間が悪い」などという、愚にもつかぬ理屈が成り立つはずがない。タックス・ヘイブンはその存在自体が悪である。そこを見誤ってはならない。タックス・ヘイブン退治は重要な課題である。
p218
パーマネント・トラベラーの問題もある。税金を納めることを避けるために、どこの国の居住者にもならないように、転々と住居を変更していく者たちである。